2014年4月号 事業者相談 薬事相談編 「医薬品の範囲に関する基準」

薬事法では、「医薬品の範囲に関する基準」が示されています。
1. 専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)を配合又は含有するもの
2. 1に該当しないが
(1) 医薬品的な効能効果を標ぼうするもの
(2) アンプル形状など専ら医薬品的形状であるもの
(3) 用法用量が医薬品的であるもの
が医薬品とみなされます。
昭和46年6月1日薬発第476号 各都道府県知事あて厚生省薬務局長通知
(無承認無許可医薬品の指導取締りについて)

■相談内容
当社の製品である「体質改善○○○錠(健康食品)」の商品説明を次のようにしたいが可能か。

漢方薬の原料にもなっている○○○を原料とし、最大限の効果を引き出すよう加工しています。
摂取後、一時的に下痢や吹き出物などの反応が出ることがありますが、対内上顆のための初期症状ですのでそのまま摂取を続けてください。1日1粒を続けてお飲みください。

■回答
NGです。
体質改善(身体の組織機能の一般的増強、増進に該当)の字句が、名称により医薬品的な効能効果を暗示しています。
「漢方薬の原料……加工しています。」が、原料の由来・製法の説明により医薬品的な効能効果を暗示しています。
植物の生薬名を表示すると、原材料が非医薬品成分であっても生薬名の使用によって「医薬品」である誤認を与える可能性があるため、医薬品と判断されます。
「摂取後、……そのまま摂取を続けてください。(好転反応)」が、医薬品的な効能効果の暗示であり、健康被害発生につながる恐れもあります。

〈医薬品的な効能効果暗示の不適例〉
・原料○○は、日本○○学会でガンに効果があると発表されました…成分に関する学説から暗示。
・身体がだるく疲れのとれない方に、便秘気味の方に等…疾病症状の方を使用対象者とすることにより暗示。
・食品なので医薬品のような速効性はありませんが、じわじわと効果が表れます…効能効果等の表現による暗示。
・薬効が認められるお茶ですが、食品ですので効果は説明できません…薬の表現などによる暗示。

いわゆる健康食品には、健康の維持、栄養補給及び健康と美容など一般的な食品の範囲の目的しか持たせることができません。
特定保健用食品・栄養機能食品に認められている効果は、医薬品的とはみなされませんが、認められた効果を逸脱して表現すると医薬品的とみなされます。

大野薬事事務所 薬剤師 大野 孝義

P R O F I L E
1944年 北海道富良野生まれ。東京都庁OB。薬事法の広告監視指導業務担当係を2度担当、薬事監視員を37年間務め、平成17年退職。独立行政法人医薬品医療機器総合機構で申請・届出文書の受付照会業務を担当し平成22年嘱託退職。TSUHAN2010で「健康食品における薬事法上の留意点」の講師を担当。

 

 

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