2014年10月号 事業者相談 景品表示法相談編 「景品表示法改正について」

■相談内容

先日景品表示法が改正されたが、およそどのような内容か。関係省庁の調査権限はどうなったのか。都道府県に措置命令権が与えられたと聞いているが、条文は何条で読むのか。また、景品表示法違反に課徴金を課す方向で検討されているが、およそどのような内容か。販売業者が課徴金を免除される場合というのはどのような場合か。その場合、先に改正のあった事業者の法令順守のための管理者を置いておくというのが条件か。また、課徴金についての法改正や施行はいつからか。

■回答

◎管理体制の整備が義務化

レストラン業界による食品メニューの不当表示の問題から端を発して景品表示法が改正されることとなり、平成26年6月13日に公布され、同年12月1日から施行される改正景品表示法は、第7条第1項の規定にあるように、事業者は景品表示法を順守するための管理体制の整備や必要な措置を講じなければならないとされており、第7条第2項において、内閣総理大臣はこれらの指針を定めることとしています。また、第8条において内閣総理大臣は、事業者が管理体制を整備することについて指導及び助言をすることができ、指導及び助言に従わないときは第8条の二の規定に基づき勧告を行うことができるとしています。そして、更に、事業者が勧告に従わない場合は、第8条の二第2項の規定に基づき事業者名を公表することができることとしています。(第12条第1項により内閣総理大臣は、景品表示法の権限を消費者庁長官に委任している)

◎都道府県に措置命令権が与えられる

都道府県は、旧景品表示法第7条に基づいて行ってきた「指示」の権限がなくなり、代わりに第4条第2項(不実証広告規制)の調査権限のほか措置命令権が与えられたわけですが、第12条第1項(内閣総理大臣から消費者庁長官に委任)に基づいて、第12条第11項の規定にあるように消費者庁長官の権限の一部は政令で定めることにより都道府県知事が行うことができるとされていますので、都道府県の措置命令権はこの規定で読むということです。
また、第12条第3項において、消費者庁長官は必要に応じて所管大臣又は金融庁長官へ委任することができるとしており、更には、第12条第5項において所管大臣から地方支分局長に委任することができ、第12条第6項の規定により金融庁長官から証券取引等監視委員会へ、第12条第7項の規定により財務局長又は財務支局長へ委任することができることとしております。

◎景表法に課徴金制度導入へ

一方、現在措置命令を行った事業者に課徴金を課すための景品表示法改正が進められておりまして、課徴金の算出方法は、不当表示が行われていた期間における当該商品の売上高の3%ですが、課徴金の額が150万円未満の場合は免除されます。また、違反行為が行われてから5年が経過している場合、消費者庁は課徴金を課すことはできません。そのほか課徴金が免除される場合というのは、例えば、販売業者として不当表示にならないように十分努力していたにも関わらず、メーカーやベンダーに騙されて広告表示をして販売し、結果的に不当表示となり措置命令を受けたような場合や販売業者が顧客に自主的に返金した場合です。但し、事業者が景品表示法を順守するための管理体制の整備や必要な措置を講じずに不当表示となり措置命令を受けた場合は、当然課徴金が課されることになります。
課徴金制度を盛り込んだ改正景品表示法(案)は、平成26年8月26日開催の第170回 消費者委員会本会議で検討されました。(課徴金についての景品表示法改正案はこちらに掲載されています)
その後、同年10月3日に開催された自民党・消費者問題調査会に於いて、当初案では違反事業者が不当表示にならないよう充分努力していたことを自ら証明できる場合には課徴金を免除することとしていましたが、行政側が立証責任を負う方向に修正されました。また当初案では、事業者が消費者への返金額の不足分を(独)国民生活センターに寄附した場合、課徴金を免除するとしていましたが、国庫に納付することに修正されました。
課徴金の改正は秋の臨時国会で審議の予定です。臨時国会では他の重要案件の審議も多く、課徴金制度に反対している事業者や団体も多いようですが、同年10月14日に閣議決定される見通しです。

調査役 地主園 彰治

景表法の相談は 03-5651-1139まで(平日10:00~12:00/13:00~17:00)

 

 

 

 

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