2015年2月 通販110番 「商品説明が消費者に不親切では?」

商品広告の内容がトラブルの原因となることはよくあります。商品情報の提供の仕方、情報量など、事業者は試行錯誤の連続です。今回は、消費者と事業者の認識の差によるトラブルの事例を取り上げました。

 

■相談事例

中敷きのブランドが違う!

ネットショップで○○という国内ブランドの靴を購入しようとして、ショップのサイト内検索を利用して○○ブランドの商品を探し、その中の1足を注文した。届いた靴は注文した商品に間違いなかったが、中敷き(インソール)に△△と表示されていた。会社にメールで問い合わせたところ、「△△は○○ブランドの姉妹ブランドで輸入品です。○○ブランドが取り扱っているので○○ブランドの商品に違いありません」との回答だった。
商品詳細ページにそのような説明はなく、△△の靴を注文したつもりもなかった。再度会社に問い合わせメールを送ったころ、「輸入品のブランド名は商品画像に表示されています」との回答メールが届き、画像が添付されていた。それは商品詳細ページに掲載されていた画像の一枚で、靴を真上から撮影しており、中敷きに△△と表示されているのが読み取れた。
注文前にも商品画像を見たが、中敷きのブランド名まではチェックしなかった。商品詳細ページに、そのような説明を一言加えても良かったのではないか。会社の回答に納得できないので返品を申し出たが、「利用規約に明記しているように、お客様都合による返品は受け付けていません」と断られた。
これ以上は会社と交渉する気持ちはなく、靴は使用するつもりだが、商品説明が不親切なので、通販110番からも会社に指摘してほしい。(非会員)

 

■処理内容

「商品情報に一言追加することでトラブルを防ぐことができる」

会社のオンラインショップで商品ページを確認した。商品名は「○○(△△)パンプス」と、2種類のブランドが併記されていた。素材・サイズ・原産国の表示とともに商品画像が数枚掲載されていて、商品を真上から撮影した画像もあり、△△の表示が読み取れた。
トップページの「ブランドから探す」を利用すると○○ブランド紹介ページに移動し、主な取扱ブランド名(△△を含む輸入品)が表示されていた。当ページを見ていればトラブルは防げたと察せられたが、商品ページにも説明があればよりわかりやすいと考えられた。以上を相談者に説明したうえで、「消費者の意見として、当相談室から会社に伝えたい」と提案したところ、理解が得られた。
会社に連絡して苦情内容を伝えた。担当者は、「商品情報についてサイズ表示等はもちろん、複数枚の画像を掲載するなど、常に改善を心掛けています。当サイトを利用される方はブランド知識をお持ちの方が多く、このような苦情は寄せられたことはありません」との返事だった。担当者に、「知識量は消費者によって違うのではないか。商品情報に一言追加することで余計なトラブルを防ぐことができる。今後、改善を検討する際は当案件も参考にしていただきたい」と要望を伝えた。

 

■通販110番より

消費者はサイト全体に目を配る習慣を持ち、事業者は消費者との情報量の格差を認識すること

会社側担当者の返事から、ある程度のブランド知識を持つ消費者を前提とした商品説明である、との印象を受けました。しかし、実際の顧客像はさまざまです。情報量も一律ではないため、丁寧な説明が求められます。
事例のように、検索サイトやショップサイト内で商品名による検索を行い、直接目的の商品ページに移動し、詳細な説明ページに目を通さずにそのまま注文手続きに進んでしまう消費者もいます。商品情報は商品ページへ情報を集中し、読みやすくするなど、事業者はサイト設計にも工夫が求められます。
消費者として、注文前にできる限り商品情報を収集することは当然ですが、併せて、商品ページだけでなくサイト全体に目を配る習慣を持つことが、トラブルを回避することに役立ちます。一方事業者は、事業者と消費者の間に情報量の格差があることを認識し、消費者の誤認を招かないよう、丁寧な説明が求められます。また、苦情などが寄せられた際に、消費者の指摘を真摯に受け止め広告作りに生かすことは、消費者の信頼を得ることにもつながります。

 

通販110番相談員 宮島 恵子

 

 

 

 

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