2014年7・8月号 通販110番 「品切れや納期が遅れる場合は、すみやかに連絡を!」

商品完売時の顧客対応が不満で、それが苦情となって相談室に寄せられることがあります。今回は、消費者の気持ちをくみ取ることができずにトラブルとなった事例を取り上げました。

 

■相談事例1
商品完売の連絡がなかった!

カタログを見て、ベルト2本セットを注文した。商品がなかなか届かないので、会社に問い合わせたところ、「商品の入荷が遅れているので、もうしばらくお待ちください」との回答だった。しかし、その後も商品は届かず、会社から連絡もない。注文から1カ月以上も経っているので、再度会社に問い合わせたが、「商品は完売しました。申し訳ありません」と言われた。
オペレーターは謝っていたが、いつ完売になったのか、なぜ連絡をくれなかったのか等の疑問に対する詳細な説明はなかった。このような対応は問題ではないのか。(会員社)

■処理内容
「入荷待ち」がわかった時点で、まず消費者に遅延を知らせるべき

相談者に「遅延および完売が判明した時点で、会社はすぐに連絡を取るべきだった。会社に苦情内容を伝え、注意を促したい」と回答したところ、理解が得られた。
当該社に連絡して苦情内容を伝えたところ、「ハガキで注文いただいた。通常であれば7~10日程度でお届けできた。しかし、当商品は入荷待ちの状態で、明確な入荷予定日がわからず、入荷次第お届けする予定だった。しばらくして、商品の完売がわかったが、当方の不注意で顧客へのお知らせが遅れた。顧客に電話をかけたが、本人が不在のため、電話に出られたご家族に伝言をお願いした」との回答だった。
担当者に「完売については、ご家族が伝えていないと察せられる。しかし、受注後『入荷待ち』がわかった時点で、まずは本人に遅延を知らせるべきだったのではないか」と指摘した。担当者より、「顧客にはご迷惑をかけたので、お詫びかたがた当方から連絡をさせていただく」との回答を得た。

■相談事例2
会社に細やかな対応を望みたい!

ネット通販で、セール品の子ども服を12点注文した。今日商品が1点だけ届いた。明細書を確認したところ、他の商品は欠品となっていた。商品代金は100円で、別途送料と振込手数料の合計750円が加算されていた。これでは商品代金よりも手数料が高くなり、セール品を注文した意味がない。会社に苦情を申し入れたところ、商品代金のみ払い込めばよいことになったが、事前に欠品の連絡があればキャンセルをしたと思う。会社はもっと細やかな顧客対応をすべきではないのか。(会員社)

■処理内容
苦情内容は消費者の意見として会社に伝えたいと回答

当該社に対しては、「商品が届かない」「電話が混雑していてつながらない」などの相談も寄せられていました。相談者に、「セールのため、注文が殺到しているようだ。会社の状況を考えると、細やかな配慮に手が回らないと察せられる。今後のためにも、苦情内容を消費者の意見として会社に伝えたい」と回答したところ、理解が得られた。

■通販110番より
明確な説明と理解の得られる顧客対応で、消費者とより良い信頼関係を築きましょう

会社の予想を超えて注文が入り、商品が入荷待ちとなることはあり得ることです。入荷日が確定していて消費者に知らせることができる場合はよいのですが、相談事例1のように入荷日が不確定で、さらに完売のため引き渡しができなくなった場合、消費者の気持ちを考慮して、明確な説明と理解の得られる顧客対応が求められます。
相談事例2では、会社に消費者の意見を伝えたところ、「通常の状態であれば、商品発送前に顧客に連絡を入れることができる。しかし、現在はセール品の注文が殺到していて手が回らない状態であり、同様の苦情が寄せられている」との回答でした。セールで注文が殺到することは予測できたことで、消費者への配慮が欠けていると察せられました。
通販において顧客対応は、商品広告とともに消費者の信頼を得るための要です。JADMAの定める「通信販売倫理綱領実施基準」では、「広告表示より遅れることとなったときは、すみやかに申込者に通知すること」と規定しています。会社の顧客対応いかんによっては、消費者の信頼を失ってしまうことを常に意識し、より良い信頼関係を築けるよう心がけることが望まれます。

通販110番相談員 宮島 恵子

 

 

 

 

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